FC2ブログ
国立科学博物館 「黄金の都シカン展」
上野
chariot

上野の国立科学博物館では、10月12日まで、「黄金の都 シカン展」が
開かれています。

シカン0039


この展覧会では、「1日ブログ記者」を募集していると知り、早速応募して
承認されたので、取材に行って来ました。

巨大なシロナガスクジラが目印の国立科学博物館です。

シカン0054


1日ブログ記者は開館時間内の入場で、写真撮影が許可されています。
ただし、会場風景の一部としての撮影です。
シャッター音のしないデジカメを使い、フラッシュは禁止です。
腕章とプレートを着けて取材します。
入場料は無料になります。

20日の日曜日の9時の開場と同時に入りました。
混雑しないうちにと、まず金製品の所に急ぎ、写真を撮っておき、
それからゆっくり観て回りました。

会場のあちこちにビデオ映像が流されていて、参考になります。
3Dシアターもあって、発掘の様子が良く分かるようになっています。

シカンは、ペルー北部海岸地域に9世紀に興り、14世紀に亡びた、
インカ帝国より古い文化です。
南イリノイ大学教授の島田泉博士を中心にして、1978年から調査、
発掘がされました。
シカンとは先住民の言葉で、「月の宮殿」という意味で、島田博士の
命名ということです。
同じペルーのナスカは、南部海岸地域で、シカンより古い文化です。

今回は島田博士らによる発掘品や、それ以前から発見された遺物が
展示されています。

多数展示されている土器には多様な形があって面白いです。
魚、エビ、カエル、リャマ、子犬を咥えた犬、野ガモ、フクロウ、トウモロコシ、
ヒョウタン、ウリなど、さまざまな生き物をかたどっています。
魚や、主食だったトウモロコシなど、造形的に実に上手いと思います。

シカン0131


上の壇はトウモロコシです。
つぶつぶが表現されています。

シカン0137


真中はヒキガエルです。

シカン0147


野ガモです。
絵付けがしてあります。

シカン0160


右は太鼓を叩く女性です。
ユーモラスな姿をしています。

シカン0163


シカンは交易国家だったとのことです。
砒素銅の精錬に優れ、土器の質も高く、そのような生活必需品を輸出して、
遠方から貴重な品を輸入していたらしいのです。
また、異民族の外交官と思われる人物も居住していて、亡くなると、
丁重に埋葬されていたとのことです。
もしかして、外交官ではなく、人質だったかもしれません。

島田博士は当時の銅や土器の製造工程の復元も行なったそうです。

シカン神を象った、黄金製トゥミです。
儀式用のナイフで、これで生贄の首を斬ったといいます。
1930年代に盗掘された品であることが、島田博士の聞き取り調査で
分かったそうです。

シカン0073


裏側から見たところです。
ガラスに映っているのは解説している島田博士のビデオ映像です。
博士の熱意が伝わってくる会場です。

シカン0075


シカン神の顔を打ち出した、黄金製のケロという容器です。
写真を拡大すると分かりやすいですが、前後左右が顔になっていて、
隣り合う顔は一つの目を共有しているという、ピカソのような発想です。

シカン0116


黄金の御輿の背もたれです。
これで、下にー、下にーと言って、かついで行ったのでしょう。
アンデス文明には車が無かったといいます。

シカン0086


シカン0088


発掘の中心の一つ、ロロ神殿で島田博士により発掘された墓の様子には
驚きました。
ロロ神殿はシカン神を祀る神殿です。

シカン0103


神殿東側で、殉葬者を従えて埋葬された被葬者は、あぐらをかいた形で、
上下さかさまになっていて、しかも首は切り離されて、あごを下に埋葬
されているというのです。
どういう死生観があったのでしょうか。

埋葬の状態の復元模型です。

シカン0110

上から、豪華な副葬品、さかさになった被葬者と黄金の大仮面、
黄金の儀式用手袋と殉葬者の順です。

復元された黄金大仮面です。

シカン0070

黄金の羽飾りをかぶり、目は吊り上がり、古代中国の青銅器に
見られるような顔をしています。
これを着けることにより死者はシカン神になると考えられていたようです。

同じく西側の被葬者は、普通にあぐらをかいていて、東側の被葬者とは、
おじと甥の関係にあるとのことです。

他にも殉葬の例が発掘されてますが、古代の中国でも殉葬は見られます。
ロロ神殿は日干しレンガを積んだピラミッド型をしていますが、ピラミッド
ではなく、基壇の上に神殿があったということです。
これは古代メソポタミアのジグラットと同じです。
実年代は、シカンと中国やメソポタミヤでは違いますが、古代文明とは
似たようなことをするものです。

アンデス文明はインカ帝国がスペインに滅ぼされて終わりますが、
古代と大航海時代では勝負になりません。
そもそも古代文明の始まりが遅かったのは、アンデス山脈の西側で、
文明を築くには領域が狭かったということでしょうか。
そうだとしたら、広い北米大陸のミシシッピ川流域に文明が興っていても
良さそうなものだし、文明発達のきっかけとは何なのだろうと思います。

シカンは農業国家でもあり、広い地域に灌漑用水を廻らして、農地を
確保していたといいます。
感慨事業は強力なリーダーが必要なので、シカンが支配者を中心に
した国家だったことが分かります。
支配者の権威を保証するのがシカン神だったのでしょう。
滅亡の原因も、旱魃と洪水が続いたため、シカン神への信仰心も薄れて、
まとまりを失い、国力が衰えたところを、チムーという国家に滅ぼされたため、
とのことらしいです。

それにしても島田博士の業績は素晴らしいと思います。
仮説を立て、長い期間かけて調査し、資金と人材を集め、スケジュールと
集まった資金の枠内で、しかも外国で現場作業を実施し、結果を分析し、
報告する訳です。
単なる書斎の学問では済まない難しさがあります。
しかも、成功するとは限りません。

会場の最後にはミュージアムショップがあって、シカンやペルー関連の
商品で盛り沢山で、ペルー物産展といった趣きです。
さすがにシカン饅頭はありませんでしたが、シカンクッキーは売っていました。

シカン0178-2


INCA KOLAというコーラもあります。

シカン0171


アルパカのセーターは温かそうで、これからの季節、魅力があります。

シカン0181


今回、ブログ記者をやってみて、思ったこと。
普段なら自分のペースで観ていれば良いが、今回は他の人の迷惑に
ならない様に、暗い会場で手早く写真を撮らないといけない。
何がポイントか、見落としはないか、他の記者さんと比べて違った観方を
出来ないかなど、いろいろ考えないといけない。
結構疲れましたが、楽しい経験になりました。

お土産にいただいた、クリアファイル、メモ帳、シャープペンです。

シカン0195


展覧会のHPです。

上野の山は彼岸花の盛りでした。

シカン0025

関連記事

【2009/09/23 10:07】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(4) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
  • yucaさん、はじめまして。
  • コメント有難うございます。
    シカンは不思議な文化だと思います。
    文字を持っていないので、調べるのが大変そうですが、発掘が進んで、もっと色々のことが分かるようになると良いですね。

    【2009/10/12 12:33】 url[「猫アリーナ」 chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • なるほど、と思いました。
  •  
    はじめまして、こんにちは、Takさんのところからお邪魔いたしました。
    私も一日ブログ記者をしてまいりました。

    上のコメント、
    >さかさまの埋葬というのは、シカンの人たちの、対照的なものを対にする概念から来ているのでしょうか。
    >天と地という風に。

    なるほど、と思いました。
    不思議な埋葬の仕方ですよね、今後の詳しい調査結果が楽しみですね。

    【2009/10/12 09:05】 url[yuca #q3wrph1Q] [ 編集]
  • はろるどさん、こんにちは。
  • さかさまの埋葬というのは、シカンの人たちの、対照的なものを対にする概念から来ているのでしょうか。
    天と地という風に。
    それにしても不思議な発想です。
    土器はあれこれ見ていて面白かったです。
    特にトウモロコシのユニークな形には感心しました。
    展示にエンターテイメント性を持たせるというのは、最近の展覧会の特徴ですね。

    【2009/09/27 08:53】 url[「猫アリーナ」 chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • こんばんは。私もブログ記者で行って参りました。
    お土産コーナーも充実していましたね。仰るようにデパートの物産展のようでした。

    >しかも首は切り離されて、あごを下に埋葬されているというのです。どういう死生観

    3D映像でも出ていましたがびっくりしますよね。
    とても不思議です。

    黄金も良いのですが、可愛らしい土器にも見入りました。

    【2009/09/26 21:26】 url[はろるど #l5HLehIY] [ 編集]
    please comment















    管理者にだけ表示を許可する

    trackback
    trackback url ↓
    http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/418-f7422e76

    blog_name=【はろるど・わーど】 ♥   「黄金の都 シカン」 国立科学博物館
     
    国立科学博物館(台東区上野公園7-20) 「黄金の都 シカン」 7/14-10/12 ペルー北海岸で栄えた古代アンデス文明の一つ、シカン(9~14世紀)文化の考古遺物を概観します。国立科学博物館で開催中の「黄金の都 シカン」へ行ってきました。 今回は主催のTBSによる「1
    【2009/09/28 22:08】

    blog_name=【弐代目・青い日記帳 】 ♥   「シカン展」
     
    国立科学博物館で開催中の 「特別展 インカ帝国のルーツ 黄金の都シカン」に行って来ました。 「インカ帝国のルーツ 黄金の都シカン展」公式サイト 1994-1996年にかけ開催された「黄金の都 シカン発掘展」に続く第二弾。サブタイトルにあるようにインカ帝国以前...
    【2009/09/26 10:02】

    プロフィール

    chariot

    Author:chariot
    美術館・博物館めぐりとカフェの記事を書いています。

    最近の記事

    最近のコメント

    最近のトラックバック

    カテゴリー

    ブログ内検索

    月別アーカイブ

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    RSSフィード


    | ホーム |