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国立新美術館 「第73回 新制作展」 1
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館で9月28日まで開かれている、
「第73回 新制作展」に行って来ました。

新制作協会は1936年設立の美術団体で、現在は絵画部、彫刻部、
スペースデザイン部があります。

19日には絵画部のギャラリートークがあり、その日に行って来ました。
何人かの画家によるギャラリートークは通常のトークと違い、キャンバス材、
下地塗り、絵具、溶き油などの材料技法についての現地講義といった、
自分で描く人のための約2時間のトークでした。
私は絵を描きませんが、絵画の観方が深まる、興味深いトークでした。
作者のトークのあった作品を紹介します。
新制作展は撮影自由でした。

鍋島正一 「神秘の防壁」 

新0115

ルネサンス画のような景色の中で、不思議な形のオルガンを前に
演奏している人たちがいます。
天使の奏でているのはリュートです。
夕暮れのような鈍い色彩が、非現実的な雰囲気を出しています。
トークによれば、題名は、フランスの古い曲の題で、気に入って
絵の題にしたもので、描く時はこの曲を聴いていたそうです。
「神秘の防壁」はクープランの作曲でした。

中村修二 「マティスからの伝言-窓」 

新0140

オブジェと絵画の合体です。
トークは以下の通りです。
「アクリルによるオブジェは、1ミリでも狂ったらいけないので作るのが
大変だが、オブジェ自体は昔から手掛けているので、抵抗感は無い。
真中の上の方にあるのは本物の野ブドウで、蔓の曲がり具合は、
人間が作っても自然に出来たものにはかなわない。
ブドウから右下に伸びてぶら下がっているのは、機織に使う筬(おさ)で、
形が面白いので取り入れた。
オブジェが出来ると、それにあわせて、絵を仕上げて行く。
絵具や道具にはこだわらず、ある物を使っている」

福田徳樹 「村の光景」

新0144

トークは以下の通りです。
「フランスのコンクという小さな村にあるロマネスクの教会の彫刻を描いた。
タンパン(教会入口の上の部分の壁)の彫刻で、13歳で殉教したという
少女の姿と神の手が彫ってある。
日本画のようにさらさらと描いた。
コンクは人口200人足らずの小さな村だが、日本の田舎がどんどん
寂れていく状況のことも思い合わせて、この題材を選んだ。
絵の左右と、下にある矢印は、左から来る少女の祈りの方向と、
右から来る神の手の方向を表し、下から上は、そのバランスを
取るため描いた。
これは最初から考えていたことで、何か新しいことをやってみないと
いけない。
偶然、近くに展示してある蛭田均さんの絵の中に、この教会が
描いてあって、驚いた」
ロマネスクの素朴さに合わせるかのように、太い線で大まかに、
力強く描いています。
コンクの教会の写真を見ると、確かに左側の入口の上のタンパンに、
この部分が彫ってあるのが分かります。

蛭田均 「長閑な刻」

新0150

福田さんの紹介した作品です。
青と黄色を中心にした、磨りガラスのようなあわあわとした光景です。
人物の大きさを変えて、奥行きを見せ、左に向う人物によって広がりを
感じさせます。
背景に描いてあるのが、コンクの教会です。

眞野眞理子 「種をまく人々」

新0103

ビザンティン教会のモザイク画の雰囲気で、地面や空はモザイクを
模して小さな四角形で埋められています。
聖職者たちの衣装は、それぞれ違ったデザインの十字をあしらって、
変化と統一を与えています。
トークによれば、以前は金箔を使ったこともあったが、派手で浮いて
しまうので、今は絵具で艶の無い金色を出すようにしているとのことです。
額縁もそれにあわせて、渋い金色に仕上げたとのことです。

矢澤健太郎 「スサノヲのムスメたち」

新0122

調べてみると、スサノオノミコトの娘は3人います。
全国を回って木の種を撒いた後に紀伊に住んだオオヤツヒメ、ツマツヒメ。
オオクニヌシノミコトの妻となったスセリヒメの3人です。
オオクニヌシノミコトは元の名を、オオナムチノミコトと言い、那智の滝の
祭神です。
これらの神話を絵画化したのでしょう、滝や熊野の烏らしいものも見えて、
古代の生命力に溢れた世界が描かれています。
トークによれば、色数は少なくしているが、メーカーによって絵具の色合いが
微妙に違うので、絵具の数は多く、パレットを何枚も使うそうです。

続きは別の回に書きます。

新制作協会のHPです。

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【2009/09/26 13:34】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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