「茶陶の道 天目と呉州赤絵」展
日比谷・有楽町
chariot

日比谷の出光美術館では、「茶陶の道 天目と呉州赤絵」展が開かれています。
会期は12月23日までです。

茶001


中国福建省で南宋時代以降に焼かれた天目や呉州(ごす)赤絵など、
日本の茶人に好まれた陶磁器の展示です。
福建省は山がちで耕作地に乏しいため、昔から海上交易を盛んに行なって
いたそうです。
この交易活動の中で、多くの福建産の陶磁器が日本にもたらされています。

会場の入口には、船の科学館所蔵のジャンク船の模型も展示されています。

以下の5つの章に分かれて、約130点が展示されています。

1.宋代福建陶磁のはじまり
2.天目 ―福建に生まれた鉄釉の美
3.珠光青磁 ―輸出された福建青磁
4.茶入と茶壺 ―日本文化が育んだ唐物茶陶
5.呉州赤絵 ―しょう州窯の展開

1.宋代福建陶磁のはじまり

作られている陶磁器は地方性が強く、まだ技術も未熟です。

「青白磁貼花人物文日月壺」 南宋時代 福建系
高さ63cmの背の高い細長い壷で、日月の形や人物を貼り付けてあり、
生命力のある南方文化を表しています。

福建では近くの浙江省龍泉窯の青磁や江西省景徳鎮の白磁を模倣していますが、
この壷でも青磁の発色は弱く、龍泉窯には及びません。

参考展示として、龍泉窯の青磁の逸品も何点か展示されていて、その違いを
際立たせています。


2.天目 ―福建に生まれた鉄釉の美

天目とは浙江省の天目山の禅宗寺院で使用された茶碗のことで、
鉄分の入った釉の掛かった、黒い色をしています。
そこで修行した禅僧が日本に持ち帰ったことから天目が知られ、
茶人に好まれるようになります。
日本で国宝に指定されている中国陶磁器8点のうち4点が天目とのことで、
日本人の天目好きをよく表しています。

「油滴天目茶碗」 南宋時代 大名物 建窯 若狭酒井家伝来 国宝
茶002

大阪市立東洋陶磁美術館所蔵で、12月5日までの展示です。
くっきりとした茶碗の内と外一面に油滴のような細かい模様が
浮き出ています。
光を当てられた油滴は口縁に施された金の覆輪と共に、落着いた色合いで
きらめいています。
大名物(おおめいぶつ)とは出雲の大名、松平不昧の編集した
「雲州名物帳」で最高位に選ばれた品のことです。
元は豊臣秀次が所持していたとのことです。

「禾目天目茶碗」 南宋時代 建窯
「油滴天目茶碗」と似ていますが、斑文が流れて縦に伸びた形になっています。
色合いも渋く、落着いた姿です。

油滴天目や禾目(のぎめ)天目は偶然にしか生まれず、今は日本にしか
残っておらず、中国には1点も無いそうです。

1323年に寧波から博多に向う途中に沈んだとされる新安沈没船からは
2万点の陶磁器が発見されています。
その中には当時より200年前の南宋の天目茶碗が混じっていて、すでに
骨董品として日本に輸出されていたことが分かります。


3.珠光青磁 ―輸出された福建青磁

「珠光青磁茶碗」 南宋時代 同安窯系 本願寺伝来
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村田珠光がこの系統のくだけた味わいの器を抹茶茶碗に採用したことによる
命名です。
龍泉窯の青磁と違って、薄緑色をしています。
外側には櫛目模様、内側にも丸く猫掻き文と呼ばれる引っ掻き模様が入り、
底には緑色の釉薬が溜まっています。


4.茶入と茶壺 ―日本文化が育んだ唐物茶陶

中国では容器などの生活雑器として使われていた物の中に日本の茶人が
美を見出し、茶入や茶壺などの茶道具として珍重しています。

「黒褐釉四耳壷」 銘羽衣 大名物 福建又は広東系 
 明時代 加賀前田家伝来

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高さ32cmの大きな壷で、大らかな姿をしています。
飴色の釉薬には薄く雲のような黒色が浮かんでいます。


5.呉州赤絵 ―しょう州窯の展開

呉州赤絵はスワトウ(汕頭)とも呼ばれ、福建省の、しょう州窯で
焼かれています(「しょう」はサンズイ偏に章)。
粗い素地に濁りのある白化粧土を掛け、赤色や青、緑を使った伸びやかな
筆遣いで草花や人物が描かれています。
明の再興を目指して清と戦った鄭成功は、これの輸出によって軍資金を
得ていたとも言われています。

日本で今でも好まれている焼物ですが、明から清にかけての混乱期に
呉州赤絵や景徳鎮の赤絵の輸出が途絶えたため、替わって伊万里焼の生産、
輸出が盛んになったということです。

「呉州赤絵刀馬人物文皿」 しょう州窯 明時代末期
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径39cmの大皿で、二人の人物と馬を描き、周りを儒教の言葉の「忠孝廉節」の
四文字が囲んでいます。
明るい色彩と大らかな温かみが魅力です。

「呉州染付草花文茶碗」 銘橘 中興名物 しょう州窯 明時代末期
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質の劣る染付茶碗ですが、その稚拙さが茶人に好まれました。
中興名物とは「雲州名物帳」によって、小堀遠州好みの茶道具として
選ばれた品です。

「白磁観音像」 徳化窯 明時代末期
会場の最後に、徳化窯の作品が1点、展示されています。
徳化窯は福建省にあり、高級な白磁を生産していますが、景徳鎮の白磁に比べ、
温かみのある色をしています。
この観音像も緻密な細工で、柔らかな雰囲気です。

福建産の陶磁器と日本のお茶の文化の関係のよく分かる、興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。

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【2010/11/24 07:55】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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【2010/12/07 21:17】

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