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「第14回文化庁メディア芸術祭」 受賞作品展
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館では2月13日(日)まで、「第14回文化庁メディア芸術祭」の
受賞作品展が開かれています。

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会場は入場無料で、映像や音が流され、パソコンが並び、見本市のような
賑わいがあります。
長編アニメの上映室やマンガの閲覧コーナー、ゲームの体験コーナーも
設けられています。

アート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門の
4部門で、それぞれ大賞1点、優秀賞4点、奨励賞1点と審査委員会の推薦する
作品が展示されています。

アート部門大賞
「Cycloid-E」 インスタレーション 
Michel DECOSTERD/Andre DECOSTERD (Cod.Act)

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連結された金属のパイプが4本、音を発しながら回転しています。
4つの回転運動の複合なので、複雑な動きと音になります。
この作品は東京ミッドタウンの地下1階アトリウムで展示されています。

優秀賞
「NIGHT LESS」 映像 田村友一郎
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Googleストリートビューの画像を連続して使って、道路を走っている映像を
再現したロードムービーです。
場所はネブラスカ、千葉、アラスカ、ポルトガル、マルセイユです。
Googleストリートビューは昼にしか撮影していないので、昼間の市街地や
森や野原をどんどん走っていきます。
こういうGoogleの使い方があったのかと感心します。


エンターテインメント部門大賞
「IS Parade」 Web/Website 林智彦/千房けん輔/小山智彦
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http://isparade.jp/のページでTwitterのIDを登録するとフォロワーが
キャラクターになってパレードする仕組みです。
2010年4月にauスマートフォンのプロモーションとして公開され、現在では
15百万回近くのパレードが行なわれています。


アニメーション部門大賞
「四畳半神話大系」 TVアニメ 湯浅政明
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京都の大学に入学した主人公の苦闘の日々を綴った、森見登美彦さんの
同名の小説のアニメ化作品です。
もしあの時、別のものを選んでいたら、自分は別の人生を歩んでいたかも、
という想定が繰り返されます。

優秀賞
「カラフル」 劇場アニメ 原恵一
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森絵都さんの同名の小説のアニメ化作品です。
私は原作を読んだことがあるので、なるほどこんな風に映像化したのかと、
興味を持って観ました。
登場する天使のイメージが、原作で想像するより可愛く作られていました。

優秀賞
「マイマイ新子と千年の魔法」 劇場アニメ 片渕 須直
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高樹のぶ子さんが自分の幼少時代を描いた「「マイマイ新子」のアニメ化です。
昭和30年代の山口県防府市を舞台にした、少女の成長物語です。
懐かしい風景、さらには千年前の風景も繰り広げられます。

優秀賞
「フミコの告白」 短編 石田祐康
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女子高生のフミコの、街の中の疾走と飛行を見せる、圧倒的なスピード感と
ユーモアにあふれた作品です。
作者は大学のアニメーション学科在学で、現在は卒業制作を制作中とのことです。


マンガ部門大賞
「ヒストリエ」 ストーリーマンガ 岩明均
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アレクサンダー大王の書記官だったエウメネスという人物を主人公とする壮大な
歴史マンガです。
実際には出自のよく分からないエウメネスの幼少時代から書き起こしています。

奨励賞
「うちの妻ってどうでしょう?」 コママンガ 福満 しげゆき
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漫画家の主人公と妻の日常を描くエッセイ風のマンガです。
日本のマンガにはこのような淡々と日常を綴る作品に味わいがあります。

マンガ部門の審査委員主査の永井豪さんは選評で、最終審査に残った作品に
歴史物が多いことについて以下のように述べています。

「かつて、マンガの主流であった荒唐無稽な作品が、ほぼなくなってきたことは
寂しい気がするが、これも、マンガ文化の成熟ととらえるべきだろう。
文化は社会と呼応する。高齢化社会になりつつある日本は、未来への希望や
展望より、過去の歴史的意義の検証に、興味を移しているのかもしれない。」

出展されているマンガやアニメ作品を観ていると、確かに未来より過去、
希望より懐旧といった雰囲気の作品の多いことに気付きます。


ともかく、色々の分野の様々なタイプの作品があって、とても刺激になる
展覧会でした。

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【2011/02/06 07:38】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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