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「ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代-清長、 歌麿、写楽」 山種美術館
恵比寿
chariot

山種美術館では、「ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代-
清長、歌麿、写楽」が開かれています。
会期は4月17日(日)までです。
その後、千葉市、仙台市を巡回します。

ボス001


ボストン美術館は日本美術のコレクションが豊富で、浮世絵は5万点の版画、
700点以上の肉筆画などを保存しています。
今回はそのうち天明・寛政期に活躍した鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽を
中心にした約140点の展示です。
錦絵とは多色刷りの浮世絵のことで、鈴木春信(1725?-1770)などにより
盛んになります。

[第1章 鳥居清長]

鳥居清長(1752-1815)は役者絵を得意とする鳥居派の絵師ですが、すらりとした
八頭身の美人画で有名です。

初期の美人画は鈴木春信風で、まだ八頭身ではありませんが、やがて独自の
画風を確立しています。

鳥居清長 「美南見十二候 九月」 天明4(1784)年頃
ボス004

品川宿の遊女が一人、窓越しに月を眺め、行灯の下では二人が手紙らしいものを
読んでいます。
格子の桟の向こうに夜の月と品川沖の漁り火が見えるという、凝った趣向です。
遠くの月には手前の行灯が照応しています。
立姿の遊女と格子の作る縦の線が印象的で、流れるような線には何となく気だるい
雰囲気も感じます。

美南見(みなみ)とは吉原の北に対して、同じ遊里でも南にある品川を
指しています。
十二候は十二ヶ月のことですが、実際に出版されたのは三月から九月までの
分とのことです。

[第2章 喜多川歌麿]

喜多川歌麿(1753-1806)は顔を大きく描く大首絵などで有名な、代表的な
美人画の絵師です。

喜多川歌麿 「歌撰恋之部 稀ニ逢恋」 寛政5-6(1793-1794)年頃
ボス005

大首絵によって、恋する若い娘の一瞬の表情を捉えています。
少しあごを引いた姿は初々しさと気持ちの張りを見せています。
袖の間からのぞく指にも表情があります。

喜多川歌麿 「覗き」 寛政11-12(1799-1800)年頃
腹掛けをした幼児が腹ばいになって若い女性を見上げていて、母親が笑い顔を
袂で隠しながら子供の腹掛けの紐を掴んでいます。
鏡の前に座った女性はあかんべえをした顔を鏡に映して子供に見せています。
喜多川歌麿はこのようなお茶っぴいな雰囲気を捉えるのが得意です。

喜多川歌麿 「金魚」 寛政11-12(1799-1800)年頃
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金魚をつかまえようとする少女を団扇を持った若い女性が見ています。
着物の模様は夏らしく紫陽花でしょうか。
団扇には三升の紋と俳句が描いてあります。

御ひさもと我ははなれぬ団扇哉 団三郎書

団三郎とは後の五代目市川団蔵で、三升は歌舞伎の市川家の紋です。

[第3章 東洲斎写楽]

東洲斎写楽は背景を雲母摺にした大首絵の役者絵で知られていますが、
活動期間は僅か10ヶ月と短く、その素性もはっきりしていません。
最近では阿波蜂須賀家お抱えの能役者、斎藤十郎兵衛という説が有力に
なっています。

東洲斎写楽 「中山富三郎の宮城野」 寛政6(1794)年
ボス003

歌舞伎の「敵討乗合噺」という演目に取材した作品です。
雲母摺の中に浮かぶ役者の顔はデフォルメの効いたというか、効きすぎたと
いうほどの迫力で、いわゆるブロマイド的な役者絵とはかけ離れています。
そのため写楽の大首絵はあまり売れ行きが良くなかったということです。
確かに芸術的価値は高いでしょうが、江戸の庶民がこのような絵を買う気に
なるだろうかとは思います。
版元の蔦屋重三郎は時代の先を見る目がありすぎたということでしょうか。

歌舞伎は役者が表情豊かに演じる演劇ですが、能は能面を着けて演じ、
着けない時も表情を出しません。
もし写楽が能役者の斎藤十郎兵衛だとすれば、歌舞伎のそういうところに
特に注目して、表情を誇張して描いたのかもしれません。

[第4章 黄金期の三大絵師をとりまく大家たち]

勝川春省、鳥文斎栄之、北尾重政、歌川豊国などが展示されています。

鳥文斎栄之 「茶屋娘見立雁金五人男」 寛政5(1793)年頃
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美人で有名な水茶屋の五人の娘を歌舞伎の「雁金五人男」に見立て、
手拭いを肩に尺八を持たせています。
暖簾と前掛けにそれぞれの店の紋が描かれています。
すらりとした姿の五人の並ぶ様は整然として、品の良さを感じます。
前垂れの紅、小袖の露草、暖簾の藍といった染料の色も良く残っています。
露草は色が褪せやすいのですが、今も鮮やかな色彩が観られます。

鳥文斎栄之(1756-1829)は直参の旗本で、十代将軍徳川家治に仕えた
こともある異色の絵師です。
隅田川を題材にした版画や浮世絵も多く描いています。

[第5章 版本と肉筆画」

第2会場には肉筆画と本になった浮世絵10点が展示されています。 
肉筆画には版画には無い濃密な味わいがあります。

ボストン美術館の浮世絵コレクションはとても保存状態が良いのが特徴で、
今回展示された後も規定により今後5年間は展示されないとのことです。
この機会を逃さずご覧になることをお奨めします。

展覧会のHPです。

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【2011/02/28 07:56】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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【2011/03/06 22:41】

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