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「人麿影供900年 歌仙と古筆」展 丸の内 出光美術館
日比谷・有楽町
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丸の内の出光美術館では「人麿影供900年 歌仙と古筆」展が開かれています。
会期は7月22日(日)までです。

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平安時代に優れた和歌を詠んだ歌人たちは歌仙と呼ばれ、後に「歌仙絵」として
描かれています。
特に柿本人麻呂(660頃~724)は歌仙の筆頭とされ、多く描かれています。
人麿影供(えいぐ)とは柿本人麻呂を祀る儀式で、元永元年(1118)に藤原顕季
(1055~1123)が人麻呂の画像を祀って、歌を献じたことに始まるとされています。
今年は人麿影供が始まって900年ということで、柿本人麻呂を中心にした歌仙絵や、
歌仙の名歌を記した古筆が展示されています。

「佐竹本三十六歌仙絵巻 柿本人麿」 
    伝藤原信実 鎌倉時代 重要文化財

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大名の佐竹家に伝わった鎌倉時代の三十六歌仙絵巻です。
三十六歌仙とは藤原公任(966~1041)の選んだ、36人の優れた歌人のことです。
元は2巻の絵巻だったのが、大正時代に巻頭部分の「住吉明神」を含め、
37枚に切断されたものです。

柿本人麻呂は直衣に、烏帽子、右手に筆、左手に紙を持って座った老人の姿です。
平安時代に、歌人の藤原兼房(1001~1069)が夢の中で人麻呂に会ったという
逸話があり、その時見たという姿で人麻呂は描かれるようになったということです。

 ほのゝとあかしのうらのあさきりにしまかくれゆく舟をしそおもふ

「三十六歌仙図」  鈴木其一 弘化2年(1845)
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尾形光琳の描いた三十六歌仙図屏風を元にしています。
掛軸ですが、表装の扇面流しや錦の模様も鈴木其一が描いています。
軸も螺鈿を使っていて豪華です。

描かれているのは35人で1人足りないのは高貴な身分の斎宮女御(徽子女王)を
御簾によって暗示しているためとのことです。

右側の矢を背負った武官の装いの美男子は在原業平でしょう。
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時代も違った人たちですが、わいわいと賑やかに集まって、皆楽しそうです。

「西行物語絵巻」 第一巻 絵:俵屋宗達 詞:烏丸光広 
 寛永7年(1630) 重要文化財
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鳥羽院が歌人たちに命じて、御所の障子絵を和歌に詠ませた時、北面の武士だった
佐藤憲清(後の西行)が一際優れた歌を詠み、剣や衣を賜る場面です。

古筆手鑑  「見努世友」 国宝 
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全部で229葉、聖武天皇に始まり、光明皇后、後鳥羽天皇、後醍醐天皇、藤原俊成・定家、
平清盛・忠度、源頼朝・実朝、新田義貞など歴史上の著名人のオンパレードです。
当時の古筆鑑定は、書風から書かれた時代を推測し、その時代の代表的人物の筆と
特定するという方法なので、このような華麗な構成になるようです。
「見努世友」は兼好法師の徒然草の一文、「ひとり燈のもとに文をひろげて見ぬ世の人を
友とするぞこよなう慰むわざなる。」に拠っています。

「継色紙」 伝小野道風 平安時代 10世紀 出光美術館 重要文化財
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「継色紙」は平安時代の名筆の一つで、「寸松庵色紙」、「升色紙」とともに、
「三色紙」と呼ばれています。
元は万葉集、古今和歌集などの和歌を集めた冊子本で、優美な仮名の散らし書きで
書かれています。

 むめのかの ふりおく ゆきにうつり せは
  たれかは ゝなを わきて をらまし

「高野切第一種」 伝紀貫之筆 平安時代 出光美術館蔵 重要美術品
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「高野切」は現存する古今和歌集最古の歌集で、一部が高野山に伝来したので
この名が付いています。

 寛平のおほんときのきさいのみやの
 うたあわせのうた
           よみひとしら須
 むめのかをそてにうつしてととめては
 はるはすくともかたみならまし

寛平御時后宮歌合は寛平年間(889~893)に宇多天皇の母后班子の催した
歌合せです。
歌を寄せた紀貫之、紀友則、壬生忠岑らは三十六歌仙に選ばれています。


次回の展覧会は、『「江戸名所図屏風」と都市の華やぎ』展です。
会期は7月28日(土)から9月9日(日)です。


【2018/07/05 20:01】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「金剛宗家の能面と能装束」展 三井記念美術館
三越前
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日本橋の三井記念美術館では、特別展、「金剛宗家の能面と能装束」展が
開かれています。
会期は9月2日(日)までです。

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京都の金剛流宗家の所蔵する能面と能装束を中心にした展示です。

金剛流は法隆寺の猿楽座に始まり、大和四座の一つでしたが、昭和初期に一度断絶し、
その後再興されています。
断絶に際しては能面54面が金剛宗家から三井家に渡っています。


展示室1には小面(こおもて)など、女面が展示されています。

「小面(金春小面)」 龍右衛門作 室町時代 金剛家蔵
展示室の最初に置かれています。
小面は元は「金春の面なり」と呼ばれ、金春流が用いていたそうです。

「小面(雪の小面)」 龍右衛門作 室町時代 金剛家蔵 重要文化財
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豊臣秀吉が愛好したという「雪」・「月」・「花」の小面の一つで、特に後世の作の
手本となったそうです。
「雪」は金春太夫に、「月」は徳川家康に、「花」は金剛太夫に下賜されましたが、
「月」は江戸城の火災で焼失しています。
「雪」は現在、京都の金剛宗家にあり、展示室では三井記念美術館の所蔵する
「花」と揃って展示されています。

「小面(花の小面)」 龍右衛門作 室町時代 三井記念美術館 重要文化財
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金剛宗家から三井家に渡った54面の一つです。

「孫次郎(ヲモカゲ)」 孫次郎 室町時代 三井記念美術館蔵 重要文化財
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金剛座の太夫だった金剛右京久次(孫次郎)が若くして亡くなった妻の面影を写して
打った面といわれています。
この面も金剛宗家から三井家に渡った54面の一つです。

「増女」 是閑作 桃山時代 金剛家蔵
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増女(ぞうおんな)は天女や貴人などの役に用いられ、能面師の増阿弥が
最初に打ったことから、この名があります。
出目是閑(1526?-1616)は越前大野生まれで、豊臣秀吉から「天下一」の
名乗りを認められています。
土佐藩主、山内容堂(1827-1872)の愛玩した品とのことです。

「鼓悪尉」 赤鶴作 室町時代 金剛家蔵
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赤鶴(しゃくつる)は近江の人で、鬼の面を得意としたとされています。
悪尉(あくじょう)は怖ろしい顔をした老人を表した面で、鼓悪尉は「綾鼓」に用いられます。
「綾鼓」は老人が叶わぬ恋のため、悪霊となる物語です。

能面は人間の心を形にしているものだと思います。

「茶地金銀蝶松藤文縫箔」 江戸時代 金剛能楽堂財団蔵
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7月22日までの展示です。
長寿を表す蝶と、夫婦和合を表す松に藤の模様です。
よく着られていたのか、かなり擦り切れていて、畳んで展示されています。

「胴箔地鳳凰文描絵長絹」 竹内栖鳳下絵・大谷光演描 
明治~大正時代 金剛能楽堂財団蔵

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大きく翼を広げた鳳凰は伊藤若冲の作品に似ています。
大谷光演(1875-1943)は東本願寺23代法主で、竹内栖鳳に絵を学んでいます。

「寸松庵色紙」 伝紀貫之筆 平安時代 三井記念美術館蔵
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如庵の床の間に掛けられています。
この季節に合わせ、古今集夏歌の、紀友則の歌です。

 きのとものり
 あまのかはあさせ
 しらなみたとり
 つゝわたりはてぬ
 にあけそし
 にける

寸松庵は江戸時代初期の茶人、佐久間将監(1570~1642)が大徳寺龍光院に
建てた隠居所で、寸松庵色紙はそこで所蔵していた伝紀貫之筆の色紙です。

「赤楽茶碗 銘鵺」 樂道入作 江戸時代 三井記念美術館蔵 重要文化財
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如庵に置かれています。
見込みはむらむらと赤く、胴に雲のような黒い塊が見えます。
平家物語に出てくる、夜な夜な御所の上に現れて近衛天皇を悩ませ、
源頼政に退治された鵺(ぬえ)になぞらえた名です。
赤楽茶碗は赤土で作って素焼きし、透明釉をかけたものです。

「鵺」は能の演目にもなっていて、鵺の亡霊は、讃えられた頼政に対し、
汚名を残し虚ろ舟に入れられ川に流された我が身を嘆いています。

 頼政は名をあげて
 我は名を流すうつほ舟に
 押し入れられて淀川の
 よどみつ流れつ行く末の

展示室入口には永樂妙全作の「色絵小鍛冶置物」が置かれています。

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次回の展覧会は特別展、「仏像の姿(かたち)」~微笑む・飾る・踊る~です。
会期は9月15日(土)から11月25日(日)までです。


【2018/07/03 19:55】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ミケランジェロと理想の身体展」 国立西洋美術館
上野
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上野の国立西洋美術館では、「ミケランジェロと理想の身体展」が開かれています。
会期は9月24日(月・休)までです。

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イタリア・ルネッサンスの彫刻家、ミケランジェロ(1475-1564)の彫刻2点を中心に、
男性美を表現した古代ギリシャ・ローマとルネッサンス期の作品、約70点が
展示されています。


「アメルングの運動選手」 紀元前1世紀 フィレンツェ国立考古学博物館蔵
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古代オリンピックの選手でしょうか、発達した筋肉が強調されています。
片足に重心をかけた、コントラポストという形をしています。
コントラポストは人体表現にやわらかさと動きを与えます。

古代ギリシャ彫刻でも、アルカイック期のクーロス(男性像)やコレー(女性像)は
まだ片足を前に出しただけで、左右対称の形をしていました。

(参考)
「コレー像」 前530年頃 アテネ、アクロポリス、エレクテイオンより出土 
 アテネ、アクロポリス博物館蔵
ギリシャ2

2016年に東京国立博物館で開かれていた、「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」の
時の写真です。

次のクラシック期に人体表現は自然になり、コントラポストも生まれます。

「ヘラクレス」 紀元前4世紀後半 フィレンツェ国立考古学博物館蔵
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ギリシャ神話の英雄、ヘラクレスがライオンと闘った棍棒を持った姿で表されています。
高さ約50㎝の小像で、堂々とした体格をしていて、コントラポストのポーズで立っています。

「アキレウスとケイロン」 65-79年 ナポリ国立考古学博物館蔵
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フレスコ画で、ギリシャ神話の英雄アキレウスに、ケンタウロスの賢者ケイロンが
竪琴を教えているところで、アキレウスはコントラポストのポーズです。
ポンペイ郊外のエルコラーノの邸宅にあった壁画で、エルコラーノは紀元79年の
ヴェスヴィオ火山の噴火で埋没しています。

「プットーとガチョウ」 1世紀半ば ヴァチカン美術館蔵
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古代にもよく幼児の像が制作されています。
愛らしい姿ですが、捉まっているガチョウは文句を言っています。


ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ 「ラオコーン」 
 1584年頃 ローマ、個人蔵、ガッレリア・デル・ラオコーンテ寄託

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この作品のみ撮影可能です。
古代ギリシャの彫刻、「ラオコーン」は1506年にローマで発掘され、ルネッサンス芸術に
大きな影響を与えています。
トロイアの神官、ラオコーンと2人の息子が海蛇に取り付かれ、殺されるところで、
苦しむラオコーンの肉体には力がみなぎり、劇的な場面となっています。
教皇ユリウス2世に呼ばれ、ローマで霊廟建設に当たっていたミケランジェロも
実際に見ています。
コピーもいくつか造られていて、これもその一つです。

ミケランジェロ・ブオナローティ 「若き洗礼者ヨハネ」  高さ130cm 1495-96年 
 ウベダ、エル・サルバドル聖堂/ハエン(スペイン)、エル・サルバドル聖堂財団法人蔵

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洗礼者ヨハネはヨルダン川でイエスに洗礼を授けた人物とされ、皮衣を着
た姿で表されます。
20歳頃の作品で、少年のように若い洗礼者ヨハネです。
コントラポストのポーズはルネッサンス期の彫刻にも受け継がれています。
メディチ家の注文で制作されましたが、すぐに行方不明になり、20世紀になって
スペイン北部ウベダのエル・サルバドル聖堂にあるのが発見されますが、
直後にスペイン内戦(1936-1939)に巻き込まれ、破壊されてしまいます。
残った14個の石片を使って、1990年代からイタリアで修復され、2013年に
公開されたということで、残っていた顔の上半分は少し黒くなっています。

白の部分が残っていた石片で、全体の約40%に当たります。
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ミケランジェロ・ブオナローティ 「ダヴィデ=アポロ」 高さ147cm 1530年頃 
 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館蔵

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フィレンツェを支配していたメディチ家を市民は1527年に追放しますが、神聖ローマ皇帝
カール5世が介入して、1530年にフィレンツェは陥落し、メディチ家が復帰しています。
ミケランジェロはフィレンツェ防衛の要塞建築を指揮していたため、罰せられる
ところでしたが、何とか赦されています。
そこで、皇帝と教皇の連合軍の司令官のバッチョ・ヴァローリの御機嫌取りで制作した
作品とのことです。
これもコントラポストの形ですが、左腕を右肩に大きく回し、体をねじって、上に向かって
渦を巻くような動きを作っています。
若々しい姿ですが、顔には憂いの表情が浮かんでいます。
しかし、製作途中でミケランジェロは教皇パウルス3世に呼ばれ、ローマに行ってしまい、
作品は未完成のまま残されています。
彫られているのは旧約聖書に登場するダヴィデ王か、ギリシャ神話の神アポロらしい
のですが、未完成のためどちらか分からないままとなっています。
肩に背負っている物が投石器ならダヴィデ、矢筒ならアポロとなります。

(参考)
ミケランジェロ・ブオナローティ 「十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)」
1514-1516年 大理石 バッサーノ・ロマーノ、サン・ヴィンチェンツォ修道院付属聖堂
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2017年に三菱一号館美術館で開かれた、「レオナルド×ミケランジェロ展」の時の
写真です。
やはりコントラポストになっています。


ミケランジェロの2つの彫刻を中心にした展示ですが、古代とルネッサンス、両時代の
男性像が数多く展示されていて、しっかり比較して観ることが出来ました。
特にコントラポストという表現方式を面白く思いました。

仏教彫刻では左右対称の仏像が多いですが、コントラポストと同じ、重心を片足に置く
形も多くあります。

(参考)
「八大童子立像」 運慶作 6軀 
 鎌倉時代・建久8年(1197)頃 和歌山・金剛峯寺 国宝
運慶img222 (5)

2017年に東京国立博物館平成館で開かれた、「運慶展」の時の写真です。

展覧会のHPです。


【2018/06/30 19:07】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
『八木夕菜「NOWHERE」』展 銀座 ポーラ ミュージアム アネックス
銀座一丁目
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銀座のポーラ ミュージアム アネックスでは、『八木夕菜「NOWHERE」』展が
開かれています。
会期は7月8日(日)まで、会期中は無休、入場無料です。

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八木夕菜さんは写真家で、建築事務所勤務の後、国内外の建築を撮影した
素材による作品を制作しています。


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ひとつになる世界
アクリルの中に建築の写真が入っています。

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写真の上にアクリルが乗っています。

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バウハウスの字が浮いて見えます。
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くずれゆく世界
幾何学のアルゴリズムを使って、建築の写真の一部を崩しています。

フランスのナントの大聖堂です。
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タンパンの所が崩れています。
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ホテルオークラ旧本館のロビーです。
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ホテルオークラは現在、建て替え中ですが、谷口吉郎設計のロビーは建て替え後も
復元されることが決まったそうです。


反射や屈折によって見え方がいろいろ変わり、建築の面白さが増す、面白い展示です。

展覧会のHPです。


毎年この季節の銀座の風物、七夕飾りです。

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銀座のパンダもサッカーW杯の日本チームを応援しています。

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【2018/06/28 19:27】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「はじめての古美術鑑賞―漆の装飾と技法―」 南青山 根津美術館
表参道
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南青山の根津美術館では企画展、「はじめての古美術鑑賞―漆の装飾と技法―」が
開かれています。
会期は7月8日(日)までです。

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漆は縄文時代には塗料として使われており、奈良時代には中国から漆の装飾が
伝えられています。

展覧会では日本で発展した蒔絵や、中国や朝鮮から渡り、唐物漆器として珍重されてきた
漆工芸品が展示され、その技法も解説されています。

「春日山蒔絵硯箱」 室町時代 15世紀 重要文化財
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8代将軍足利義政愛用の硯箱の一つです。
鳴く鹿に秋草を配し、銀の満月には薄がかかっています。
雅びで繊細な作品で、義政の洗練された好みを伝えています。
この硯箱は古今集の壬生忠岑の歌に依っています。

  山里は秋こそことにわびしけれ鹿の鳴く音に目をさましつつ

鹿、山、秋、月などから春日山が連想され、作品名にもなったそうです。

春日山蒔絵硯箱にはいろいろの蒔絵の技法が使われています。

葦手(あしで)
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和歌の一部の字を絵の中に忍ばせる技法です。

平文(ひょうもん)
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金属の板を貼って、漆で塗り込め、表面を研ぎ出します。

高蒔絵(たかまきえ)
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漆を高く盛り上げて、立体感を出します。

梨子地(なしじ)
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細かい金粉を蒔いた後、漆で塗り込めます。

「花白河蒔絵硯箱」 室町時代 15世紀 重要文化財
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8代将軍足利義政の所持とされる品で、満開の桜の下に公達を描き、幹などに
花・白・河の文字を葦手書きで表しています。
新古今和歌集の飛鳥井雅経の歌に拠っています。

  なれなれてみしはなこりの春そとも なとしら河の花の下かけ

「嵯峨山蒔絵硯箱」 室町時代 15−16世紀 重要文化財
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蓋表には雅楽の大太鼓、蓋裏と箱には山の端の月、樹木、屋敷などが描かれています。
葦手(あしで)文字で、嵯峨、乃、御幸、絶にし、千代の字が配され、後撰和歌集の
在原行平の歌が表されています。

  さがの山みゆき絶にし芦川の千世のふる道跡はありけり

夕顔蒔絵板戸 柴田是真・三浦乾也合作 江戸時代 19世紀
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小さな板戸に立体感のある分厚い塗りで夕顔を描いています。
瓢箪の部分は尾形乾山の系統の陶工、三浦乾也の作です。

「業平蒔絵硯箱」 柴田是真 明治時代 19世紀 
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伝尾形光琳作の「業平蒔絵硯箱」を模した作品で、伝尾形光琳作と並べて
置かれています。
原作は狩衣の線や扇の骨を錫の板で作ってあるのを、錫の粉や灰墨を使って
蒔絵で再現してあるそうです。


中国の漆工芸品です。

「螺鈿人物文八角合子」 木胎漆塗螺鈿 南宋時代 12世紀
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机に向かって絵を描く女性、香を焚いたり、団扇を持つ侍女が螺鈿(らでん)を使って
描かれています。
八角形の枠に合わせて、欄干や机、香の台の線が揃えられています。
机の上の紙には絵も線彫りされるなど、細かい細工がされています。

「堆黒屈輪文香合」 木胎漆塗 元時代 14世紀
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堆黒(ついこく)は素地に黒漆を何層にも塗り重ねて厚みを出し、
彫り込んで模様を出す技法で、宋時代に始まっています。
屈輪文(ぐりもん)は渦巻文様のことです。
間に朱漆も塗って、赤い線を出し、器を華やかにしています。


示室5のテーマは、「茶道具の銘と和歌」です。

銘を和歌から採った茶道具の展示です。

「文琳茶入 銘 亀尾」 薩摩 施釉陶器 江戸時代 17世紀
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胴の白い部分を瀧に見立てています。

  亀の尾の山の岩根をとめておつる瀧のしら玉千世の数かも

古今集所収の紀惟岳(きのこれおか、生没年未詳)の歌です。

「鼠志野茶碗 銘 山の端」 美濃 施釉陶器 桃山~江戸時代 17世紀 重要文化財
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  五月雨ははれんとやする山端にかかれる雲のうすくなりゆく

花園天皇(1297-1348)の歌にちなんだ銘です。


展示室6のテーマは、「季夏の茶の湯 ─名水点て─」です。

名水点ては夏の茶席の趣向で、名水を汲んで茶を点てるものです。

「青磁擂座三足水盤」 龍泉窯 施釉陶器 元時代 14世紀
蒔絵img518 (5)

水を張って草花を活ける鉢です。

「広沢切」 伏見天皇筆 鎌倉時代 14世紀
床の間には広沢切が掛けられています。
和歌や書に優れた伏見天皇の御製集の断簡です。

  あめのゝちのゆふべのいけは水すみてうつる木ずゑのいろぞすゞしき

展覧会のHPです。


次回の展覧会は企画展、「禅僧の交流 墨蹟と水墨画を楽しむはじめての古美術鑑賞
―漆の装飾と技法―」です。
会期は9月1日(土)から10月8日(日)です。


【2018/06/26 19:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

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