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牧野富太郎展 「植物学者 牧野富太郎の足跡と今」 国立科学博物館
上野
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上野の国立科学博物館では、企画展、「植物学者 牧野富太郎の足跡と今」展が
開かれています。
会期は2013年3月17日(日)までです。
常設展の入館料で入場出来ます。

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日本の科学者技術者展シリーズ第10回で、今年が生誕150年の植物学者、
牧野富太郎についての展示です。
展覧会では後の研究者や植物愛好家への影響についても焦点を当てています。
展示内容を解説した、ていねいなパンフレットも用意されています。

牧野富太郎(文久2:1862-昭和32:1957)は高知県佐川町出身で、
少年時代は明治初期で近代教育制度の整う前だったため、塾で学び正規の
学校教育をあまり受けないまま、植物学の研究を始めています。
そういう時代に独力で研究を進めるには余程の熱意がなければ出来なかった
だろうと思います。

牧野の業績は、植物を学術的に記録する「記載」と、植物に関する教育普及活動の
2つに大きく分けられます。

「牧野式植物図 ホテイラン」
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花を別々の角度から描き、葉が1枚の植物は別の固体を使って葉の裏も描き、
花の時期、果実の時期を描き分け、部分拡大図も添えています。
このように1枚でその植物の特徴を捉えて記録したのが牧野式植物図の特徴です。
牧野富太郎は自ら精確な植物図を描くことで、数多くの新種の発見や命名に
つなげていて、生涯に学名を与えた植物は約1500種類以上になるそうです。
また、牧野の収集した標本は約40万枚あり、現在も分類が続けられています。

牧野富太郎は植物知識の一般への普及のため、全国各地の植物同好会を設立、
指導しています。
その活動は現在も引き継がれています。
牧野の撒いた種は全国に根付いている訳です。

牧野が関わった全国の植物同好会
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牧野富太郎に全国から送られて来た植物
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牧野に標本の同定(分類学での所属や名称を明らかにすること)を依頼してきた
もので、牧野は一つ一つていねいに答えています。

牧野富太郎は植物に関心の深かった昭和天皇から植物標本の同定の依頼を
受けています。
また、昭和23年には植物学をご進講しています。

昭和天皇の標本 ハマエンドウ(マメ科)
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牧野富太郎が18~20歳頃に記した赭鞭一撻(しゃべんいったつ)という
研究の心得も紹介されています。

15か条あって、忍耐を要す、書籍の博覧を要す、当に画図を引くを学ぶべし、
博く交を同士に結ぶ可しなど、なるほどと思うことが並んでいます。

特に印象に残ったのは第15条の、造物主あるを信ずるなかれ、です。
学問の目標である真理の探究において有神論を取ることは自然の分からない部分を
神の摂理であると見て済ますことにつながり、真理への道をふさぐことになる、
と述べています。


私も夏休みの宿題でアサガオの押し花標本を作ったことを思い出しました。
あの標本作りの作業も牧野富太郎の取組んだ壮大な植物学の重要な一部でした。

展覧会のHPです。


練馬区東大泉の牧野記念庭園では企画展、「花ものがたり-植物画でひろがる
『植物記』の世界」が開かれています。
会期は2月11日(月・祝)まで、入場は無料です。

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日本植物画倶楽部会員が描いた植物画を展示し、牧野富太郎の随筆「植物記」の
世界を紹介しています。

牧野富太郎は1925年以来この地に住んで、自宅の庭を植物園としていました。

牧野記念庭園のHPです。


【2013/01/12 00:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「-深化する視線-村居正之展」 日本橋高島屋
日本橋
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日本橋高島屋美術画廊では1月15日(火)まで、「-深化する視線-村居正之展」が
開かれています。

村居正之さん(1947~)は京都出身で、池田遙邨に師事し、現在は日展評議員です。
展覧会では群青で描かれたギリシャ神殿や日本の古寺などが展示されています。

「燈」
村居002

ギリシャのメテオラの修道院でしょうか。
崖の上に立つ建物は夜の中に浮かび上がり、窓や戸の燈は
懐かしげです。

星座とギリシャの古代遺跡を組合わせた作品も何点かあります。
澄んだギリシャの空を見上げれば、古代遺跡の向こうには星座が
輝いているのでしょう。

「牡牛座 パルテノン神殿」
村居001

アテネのパルテノン神殿です。

「蟹座 リンドス」
村居003

リンドスはエーゲ海のロドス島にある考古遺跡で、アクロポリスの
遺跡も残っています。


【2013/01/10 00:05】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「西田藤夫展」 日本橋高島屋
日本橋
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日本橋高島屋美術画廊では1月15日(火)まで、「西田藤夫展」が
開かれています。

西田藤夫さん(1950~)は神戸市出身で、1980年にイタリアに渡り、
現在はコモ在住です。

作品は静物画で、どの作品も無地一色の背景に写実的に描かれています。
ぽつんと置かれていたり、古いブリキのバケツに入っていたりで、
即物的な簡素さがあります。
題名も「芍薬」「ひまわり」「スターチス」「パン」「レモン」「枯葉」などと、
シンプルです。

「芍薬」 20F
西田001

黒一色を背景にして、存在感を持っています。
写真のような細密さの少し手前で抑えた描き方です。

西田さんの挨拶文によれば、「石造建築のような堅牢で永遠性を感じさせる
油絵の静物画の伝統を追い求めてきたはずなのに、いつのまにか、そのなかにも
微風がふいているたおやかな風景を求めているような気がします。」とあります。

しおれかけた花、古びたバケツにそのたおやかさを感じます。


【2013/01/10 00:02】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「尾張徳川家の至宝」展 江戸東京博物館
両国
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両国の江戸東京博物館では、開館20周年記念展、「尾張徳川家の至宝」が
開かれています。
会期は2月24日(日)までで、会期中、一部展示替えがあります。

尾張001


尾張徳川家は、徳川家康の九男・義直(1600~1650)に始まる
御三家筆頭の家柄です。
展覧会では名古屋市の徳川美術館の所蔵する尾張徳川家の大名道具、
約230件が展示されています。

「銀溜(ぎんだめ)白糸威具足」 徳川義直所用 江戸時代 17世紀
尾張003

会場入口で来館者を迎えています。
義直は正月の具足祝いの儀式のために毎年具足を新調していて、その中でも
この具足を好み、旅行の際にも必ず携行していたそうです。
全体に白く、兜の前立と袖の緒の朱、草摺の裾の黒毛をアクセントにしています。
胴が太く、義直は体格の大きな人だったようです。
東京国立博物館に展示されていた、義直が大坂の陣で着用した白糸威二枚胴具足も
太い胴をしていました。
どちらも白糸威で、義直は白を好んだのでしょう。

「銀孫手」 徳川義直所用 江戸時代 17世紀
甲冑を着けた後に使う孫の手で、先端が銀で出来ています。
陣中ではこのような道具も必要だったようです。

「刀 銘 村正」 徳川家康所持 室町時代 16世紀
村正は徳川家に祟る妖刀とされていますが、家康自身も所持していました。

「古銅砧形花生 銘 杵のをれ」 名物 豊臣秀吉・徳川家康所用
  中国・元~明時代 14~15世紀

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犬山城主だった石川貞清が豊臣秀吉の面前で徳川家康と囲碁の勝負に勝って
拝領しました。
関ヶ原の戦いで西軍に付いた貞清は助命され、この花生を家康に献上しています。
すっきりとした姿をしていて、砧の折れた形になぞらえた命名です。

「初音蒔絵貝桶」 千代姫所用 江戸時代 寛永16年(1639) 国宝
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1月27日までの展示です。
国宝の「初音の調度」の中の一対です。
「初音の調度」は3代将軍徳川家光の娘の千代姫が尾張家2代光友に
嫁した時の道具類です。
源氏物語の「初音」の帖にある歌を芦手書きにしています。
芦手書きは絵の中に文字を忍ばせておく装飾技法です。
明石の上が娘の明石の姫君に送った歌です。

 年月を松にひかれてふる人に今日鴬の初音きかせよ

技巧を凝らした華麗な蒔絵が施され、葵の紋も入っています。

貝桶は貝合わせの貝を納めた桶で、大名の婚礼行列では先頭を飾り、
婚家に着くと先ず貝桶渡しの儀が行われたそうです。

1月29日から2月24日までは「初音蒔絵鏡台」が展示されます。

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「源氏物語絵巻 柏木(三)」 平安時代 12世紀 国宝
1月15日までの展示です。
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正妻の女三宮の産んだ不義の子、薫を抱く光源氏です。
源氏物語絵巻の中でも最も印象の深い場面で、光源氏の大きく傾いた姿に
源氏の苦悩と悲しみが表れています。
人物は画面左に片寄せられ、緊迫感を増しています。

1月29日から2月11日までは「東屋(二)」が展示されます。

国宝「源氏物語絵巻」は徳川美術館と五島美術館が所蔵していて、
作品保護のため、たまにしか観ることが出来ません。

ほかにも武具、能面、能装束、茶道具、香道具、遊戯具、書画など
文武の逸品の揃った、尾張徳川家の格式を示す展覧会です。

展覧会のHPです。


【2013/01/08 00:14】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
東京国立博物館東洋館 リニューアルオープン
上野
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上野の東京国立博物館東洋館は1月2日にリニューアルオープンしたので、
本館の「博物館に初もうで」と一緒に観てきました。

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館内は耐震工事がされ、ガラス張りのエレベーターが備えられました。
照明もLEDを使うなど工夫がされているとのことで、展示品がくっきりと
浮かび上がって見えます。

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展示は地下1階から5階までに分かれています。

地下1階は東南アジアの文物です。

「青花魚藻文大皿」 ベトナム 15~16世紀 重要美術品
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伸び伸びとした筆遣いで魚が描かれています。

1階は中国の仏像です。
背の高い仏像があるので、安定を考えて1階に置いてあります。

「菩薩立像」 中国山西省長子県付近
 北斉時代・天保3年(552) 重要文化財

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台座の四面に結縁した人々の名前が刻まれています。

「如来三尊仏龕」 中国陝西省西安宝慶寺
 唐時代・長安4年(704) 重要文化財

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宝慶寺石仏群は則天武后が長安城内に建てた光宅寺に安置されていました。
30余点が現存し、15点が展示されています。

2階はインド・ガンダーラ、西域、西アジア・エジプトです。

「鴇像」 エジプト、トゥーナ・エル・ゲベル出土
 プトレマイオス朝時代・前304~前30年

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トキはエジプトでは神聖な動物とされていました。
プトレマイオス朝はヘレニズム時代のアレキサンダー大王の後継王朝です。

「如来立像」 パキスタン・ペシャワール周辺 クシャーン朝・2~3世紀
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仏教はパキスタン、アフガニスタンから中央アジアに伝わりました。
ヘレニズム文化と接触したので、西方のお顔立ちになっています。

「樹下人物図」 中国・アスターナ・カラホージャ古墓群 
 大谷探検隊将来品 唐時代
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墓室内装飾で、厚手の紙を貼り合わせたパネルに描いてあり、裏貼には戸籍などの
反故が使われているそうです。
大谷探検隊は浄土真宗本願寺派第22代法主の大谷光瑞が1902-1914年の間に
中央アジアに3度派遣した探検隊です。

3階は中国の青銅器、陶磁、染織などです。

「饕餮文瓿(とうてつもんほう)」(手前) 中国 殷時代・前13~前11世紀
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饕餮(とうてつ)は想像上の怪物で、瓿(ほう)は祭祀で酒などを入れる容器です。

「三彩鎮墓獣・三彩官人」 中国 唐時代・7~8世紀
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鎮墓獣は墓門を守る獣です。
唐三彩はおもに埋葬用に使われました。

「青磁輪花鉢」 南宋官窯 中国 南宋時代・12~13世紀  重要文化財
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貫入(ヒビ)が程良い装飾になっています。

「青花龍濤文壺」 景徳鎮窯 中国 元時代・14世紀
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青花(染付)の龍が元気にうねっています。

4階は中国の絵画、書籍などです。

「紅白芙蓉図」 李迪筆 中国 南宋時代・慶元3(1197)年 国宝
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1月27日までの展示です。
院体画(中国宮廷画)の作品です。

「瀟湘臥遊図巻」 李氏筆 中国 南宋時代・12世紀 国宝
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1月27日までの展示です。
宋代の山水水墨画です。
清の乾隆帝の愛蔵品で、乾隆帝の書が付いています。

5階は中国の漆工、清の工芸、朝鮮の文物です。

「粉青鉄絵魚文瓶」 伝韓国忠清南道公州鶴峯里出土
 朝鮮時代・15~16世紀

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日用の器で、勢い良く描かれた魚の図柄がユーモラスです。

「青花草花文壺」 朝鮮 朝鮮時代・18世紀
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日本では秋草手と呼ばれる、植物を優しく描き出した染付の壷です。

ともかく見応えのある展示品揃いで、鑑賞しているうちにかなり時間が経ち、
本館の展示も観ると半日がかりになりました。

東京国立博物館のHPの「東洋館リニューアルオープン」のページです。


【2013/01/06 00:06】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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東京のビルの多い街で暮らしています。

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