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「井戸茶碗 戦国武将が憧れたうつわ」 根津美術館
表参道
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表参道の根津美術館では特別展、「井戸茶碗 戦国武将が憧れたうつわ」が
開かれています。
会期は12月15日(日)までです。
一部、展示替えがあります。

井006


16世紀に朝鮮半島で生活雑器として焼かれた器は日本に渡来して、
高麗茶碗として茶人に愛好されます。
その一つが井戸茶碗で、素朴な姿が戦国武将に好まれたということです。

井戸のように深い茶碗という意味のようで、枇杷色と呼ばれる色の釉、高い高台、
高台辺りの梅花皮(かいらぎ)と呼ばれる釉薬の縮れなどが特徴です。

展覧会では井戸茶碗約70点が展示されています。

「大井戸茶碗 銘 喜左衛門」 朝鮮時代 16世紀 大徳寺孤篷庵 国宝
井002

井戸茶碗として唯一、国宝に指定されています。
大井戸茶碗は井戸茶碗の中でも大振りのものを云います。
元は大坂の町人、竹田喜左衛門の所持で、後に本多忠義に渡ったので、
本多井戸とも呼ばれています。
松平不昧の所持となり、その死後に夫人により大徳寺孤篷庵に寄進されています。
高台の力強さが眼を惹きます。
孤篷庵は小堀遠州の建てた庵で、火災による焼失後、小堀遠州を崇敬する
松平不昧によって再建されています。

「大井戸茶碗 銘 細川」 朝鮮時代 16世紀 畠山記念館
井003

細川三斎(忠興)が所持し、後に松平不昧の所持となっています。
かなり大きな茶碗で、梅花皮がびっしりと付いています。
ろくろ目がていねいで、すっきりと静かな印象です。

「青井戸茶碗 銘 柴田」 朝鮮時代 16世紀 根津美術館 重要文化財
井004

青井戸茶碗は釉が青色がかったものを云いますが、実際には青色に限らず、
色に変化があります。
織田信長から柴田勝家が拝領したとされることから、この名があります。
胴が真直ぐにすぼまり、強くろくろ目の出ている、くっきりした姿で、
上の方がやや青みがかっていて、全体に明るい印象の茶碗です。
賤ヶ岳の戦いに敗れた柴田勝家は北ノ庄城の天守閣に火を掛けて自害して
いますが、この茶碗はどのようにして伝わったのでしょうか。

「小井戸茶碗 銘 忘水(わすれみず)」 朝鮮時代 16世紀 根津美術館
井005

12月1日までの展示です。
小井戸茶碗は小振りの井戸茶碗のことを云います。
小堀遠州の所持していた茶碗で、忘水とは野を人知れず細々と流れる
水のことです。
文字通り小さく、可愛い姿をしています。

井戸茶碗は、およその姿、色は似ていますが、70個ほども並ぶと壮観で、
それぞれに個性があり、違いを見比べると楽しいものがあります。
銘も、慈照寺、細川、毛利など伝来に因むもの、わか草、朝かほ、幾秋など
風雅なものと、さまざまです。

それにしても、生活雑器を茶器に見立て、珍重するという日本人の美意識は
不思議なものです。


展示室6のテーマは仲冬の茶の湯です。
仲冬とは陰暦十一月のことで、冬の三か月の真ん中の月という意味です。
風炉をやめて炉を開き、新茶を点てることから、茶人の正月と呼ばれています。
季節の茶道具20点ほどが展示されています。

「鶉図」 伝 李安忠 南宋時代 12-13世紀 根津美術館 国宝
井007

井008

ウズラの歩くところが細密に描かれています。
右脚を上げている瞬間が捉えられていて、眼は鋭く、張りのある姿です。
赤い実を付けているのはクコの木ということで、木の葉の虫食いまで
描かれています。
ウズラの右上に6代将軍足利義教の所蔵を示す印が捺されています。
展示室で観てもよく分かりませんが、画像を拡大するとかすかに
見えます。

展覧会のHPです。


根津美術館の前にはクロガネモチが赤い実を付けていました。

根津0246


次回の展覧会はコレクション展、「和歌を愛でる」です。
会期は2014年1月9日(木)~2月16日(日)です。

和001


【2013/11/14 23:09】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「生誕100年! 植田正治のつくりかた」展 東京ステーションギャラリー
東京
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東京駅丸の内駅舎の東京ステーションギャラリーでは「生誕100年!
植田正治のつくりかた」展が開かれています。
会期は2014年1月5日(日)までです。

植001


植田正治(1913-2000)は鳥取県の現在の境港市の写真家で、画面をつくり込んだ
演出写真を制作していました。
特に鳥取砂丘を舞台にした写真で有名です。

会場には1930年代の初期から晩年までの作品、約150点が展示されています。

植田正治は1931年に旧制米子中学を卒業すると、地元の写真クラブに入会しています。

当時は写真を加工して絵のようにつくり込む「芸術写真」が主流で、その頃から
写真を加工せず、カメラの機能を活かして造形的な写真をつくる、「新興写真」が
流入していて、植田正治はその中にあって自分のスタイルを形成していきます。

「少女四態」 1939年
植008

植田正治独特のスタイルの第1作とされています。
日常では有り得ない、つくり込んだ構図の演出写真である一方で、
単純でシャープな切り口の画面になっています。
髪型はワカメちゃんと同じおかっぱなのが微笑ましいところです。

「風船をもった自画像」 1948年頃
植004

植田正治は自分をアマチュアと規定し、鳥取県を離れることは無く、
山陰の風土を土台にして制作を続けています。

「小狐登場」 1948年
植002

砂丘を舞台にした、幻想のような一瞬です。
植田は砂丘では正面光を使い、背景は単純にして、雲を入れることも避け、
平面的な画面を心掛けたそうです。
この作品では雲が効果的に使われています。

「パパとママとコドモたち」 1949年
植003

長女の和子(カコ)の作文に沿った内容という設定の組写真の1枚です。
植田と妻、4人の子供たちが一列に並んでいます。
カコの作文には、シャッターが押されるのを待っている間に花を持っている手が
くたびれてしまった、とあります。
奥さんは和服を着ていますが、この時代の女性は和服が普通でした。

1971年、58歳で最初の写真集、「童歴」を出しますが、1950~60年代は
リアリズム写真全盛の時代で、この期間は植田も演出写真を撮っていません。
植田自身、自分の演出写真はずいぶん「たたかれた」と懐古しています。
その中でも「妹のお守り」「小さな工場」「紙芝居屋が行く」などを観ると、
植田らしい演出写真的なものを感じます。

1983年に植田は妻を亡くし、広告ディレクターをしていた次男が
植田を励ますため、ファッション雑誌の写真を提案します。
そこで、キクチタケオのコレクションのカタログを制作することになります。

『「砂丘モード」より』 1983年
植005

それ以後、ファッション誌のグラビア撮影に精力的に取り組みます。
砂丘を背景にしたシュルレアリスム風の作品は、ファッションの提示として
強く訴えるものがあります。
植田は、「風景写真は引き算であり、砂丘はそれにふさわしい」と述べています。

植田が砂丘で撮影に取り組む様子をテレビで観たことがあります。
遊びに来ていた中学生たちにモデルにして、砂丘に前後に並んで
立ってもらっていました。
なるほど、植田の写真はああやってつくっていたのかと思いました。

1990年代になると、体力的な状況に合わせて作風も変わり、カラーや合成写真、
至近距離からの撮影を手掛けるようになります。

植田正治は活動歴の長い作家で、テーマもさまざまですが、その基本姿勢は
一貫していることが分かる興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。





次回の展覧会は「プライベート・ユートピア ここだけの場所 
ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在」展です。
会期は2014年1月18日(土)~3月9日(日)です。


【2013/11/13 03:28】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「―陶―卵殻 山元規子展」 京橋 LIXILギャラリー
京橋
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京橋のLIXIL:GINZA2階のLIXILギャラリーでは12月2日(月)まで、
「―陶―卵殻 山元規子展」が開かれています。
場所は中央区京橋 3-6-18 です。
水曜日は休館日で、11月24日(日)は臨時休館です。

山元001


室内は撮影可能です。

山元0303

山元0306

山元0307


山元規子さんは2009年に京都造形芸術大学芸術学部陶芸コースを卒業し、
卵の殻をイメージした陶器を制作しています。

制作を始めた時期はかなり遅く、陶芸教室から始めて大学の通信教育の
コースを受講したとのことです。

卵の殻のシリーズは、スクーリングで泊まっていたホテルの朝食に出た
ゆで卵の温かさと感触に触発されて着想したものだそうです。

ランカク 2012
山元003


ランカク 2013
山元002


触ると壊れてしまいそうな繊細な作品で、牡丹のように華やかでありながら、
清楚でもあります。
山元さんによれば花のイメージを持っているわけではなく、伊藤若冲の
絵のようにどんどん細かくつくり込んでいきたいと思っているそうです。

展覧会のHPです。


【2013/11/10 23:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「Artist Today 2013」展 銀座 日動画廊
銀座
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銀座の日動画廊では11月19日(火)まで、「Artist Today 2013」展が
開かれています。
日曜日はお休みです。

日動001


昭和会作家37名の作品が展示されていて、私が日動画廊の個展で観た方の
作品も多くあります。

遠藤彰子 「記念日」 
ケーキの載った大きなテーブルを囲んだ人たちが桜を見上げています。
遠藤さんは1000号の大作を描く方ですが、小品にはノスタルジーがあります。
上野の森美術館で2014年1月15日(水)~1月28日(火)に遠藤さんの
個展が開かれます。
遠藤彰子さんのHPです。

齋正機さんはローカル電車を描いた作品が1点、展示されています。
2013年10月の日動画廊での齋正機さんの個展の記事です。

松井ヨシアキ 「ガルソン」「チョコレート屋の売り子」
ぐいぐいと力強い厚塗りで描かれたパリの街角の風景です。
2012年の日動画廊での松井ヨシアキさんの個展の記事です。

山本大貴 「Remains of the day」
セピア調の色彩の室内画で、女性が被っている帽子に手をやっています。
さわやかで品の良い写実です。
2012年の日動画廊での山本大貴さんの個展の記事です。

米田和恵 「朝の散歩」
ヨーロッパの街角で、ペットを連れた女の子が花屋さんを覗いています。
リードでつながれているのは蛙です。
米田和恵さんの作品では動物が人の世界に同居しています。
日動画廊で2014年3月に米田さんの個展が開かれます。
米田和恵さんのHPです。


【2013/11/10 23:13】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「日本のアザミの秘密展」 国立科学博物館
上野
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上野の国立科学博物館では、企画展、「日本のアザミの秘密展」が開かれています。
会期は11月10日(日)までです。
常設展の入館料で入場出来ます。

ア0373


日本のアザミはとても多様性に富んでおり、全国各地の海岸から高山にまで分布し、
種類も150以上あるということで、それを各種のアザミの標本や写真によって
紹介する展覧会です。

会場内は撮影可能です。

ア0377

ア0374

ア0391


アザミはキク科アザミ属で、幾つかの節に分かれます。
ア0375


ノアザミは北海道以外に広く分布しています。
ア0380


イリオモテアザミは与那国島から石垣島にかけての分布です。
ア0385


トオノアザミは岩手県を中心に分布しています。
ア0388


北海道のコバナアザミからは蜜が採れます。
東北地方では食用にもなります。
ア0378


日本でアザミの種類が多いのは、菊科で外敵から身を守るトゲのある植物は
日本ではアザミの他には存在せず、同じ条件で生育する競争相手が居なかったので
いろいろな場所に生育し、気候条件などにに応じて、種類も分かれていったためだ
そうです。

アザミは北半球に広く分布し、スコットランドでは国花になっています。
敵が夜襲を掛けるため靴を脱いで忍び寄ってきたところ、アザミのトゲを
踏んで声を出してしまい、それに気付いて撃退することが出来たという
逸話に拠るそうです。

ア0390


ア0393


アザミにはこんなに多くの種類があるとはまったく知りませんでした。
これからアザミを見付けたら、よく観察してみようと思います。

展覧会のHPです。



【2013/11/08 22:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

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